重要判例解説(1);最高裁判所平成21年7月16日判決

1 事案
X1(原告・控訴人・上告人)は融資等を目的とする会社であり,X2(原告・控訴人・上告人)は,その代表取締役である。また,Y(被告・被控訴人・被上告人)は,商品先物取引の受託等を目的とする会社である。  
平成8年3月25日から同年5月1日までの間,X2は,個人として商品取引員Aに委託して,初めて商品先物取引を行い,その結果,合計で約1億7000万円の損失を被った。
X2は,さらに,個人としておよびX1の代表者としてYとの間で商品先物取引委託契約を締結した。その結果,X2については平成8年5月20日から同年9月24日まで「とうもろこし」の先物取引を行って,合計7542万円余の損失を被り,X1については平成8年5月9日から同年6月26日まで「とうもろこし」「米国産大豆」「錦糸」商品の先物取引を行って,合計564万円余の損失を被った。
当時の商品取引所の立会では,いわゆる「板寄せ」手法(売り数量と買い数量が一致するまで取引を行い、最終的に各銘柄の各限月毎に単一の約定価格が決定されるという方法による取引)が採用されており,いわゆる「バイカイ付出し」(取引所の会員が同一銘柄、同一限月の商品を同量、売りと買いを取引所に申し出て取引時間中に同時に行うこと)が認められていた
当時の実務として,商品の種類および限月ごとに,委託に基づく売りつけと買付けとを合計して差(「差玉」)が生じた場合,差玉の約1割から3割だけを商品取引所の立会に出し,当該立会終了後に,委託に基づく同数量の売付けと買付けについて「バイカイ付出し」により売買約定を成立させるか,立会に出されなかった差し玉の不足分について「自己玉」(商品取引員が事故の計算でする取引)を建てて同量にして「バイカイ付出し」により売買約定を成立させるか(「差玉向かい」という)の注文処理がなされていた。
本件でも同様に処理されていたが,YからX2に「差玉向かい」が行われていること等の説明はなかった
X2らは,受託に際して,差玉向かいがなされていること,差玉向かいは利益相反が生ずる可能性が高いこと を十分に説明する義務を怠ったなどと主張して,債務不履行に基づく損害賠償請求訴訟を提起した。
第1審・原審ともに請求棄却

2 判旨
破棄差戻し。
「少なくとも,特定の種類の商品先物取引について差玉向かいを行っている商品取引員が専門的な知識を有しない委託者との間で商品先物取引委託契約を締結した場合には,商品取引員は,......差玉向かいを行っている特定の種類の商品先物取引を受託する前に,委託者に対し,その取引については差玉向かいを行っていること及び差玉向かいは商品取引員と委託者との間に利益相反関係が生ずる可能性の高いものであることを十分に説明すべき義務を負い,委託者が上記の説明を受けた上で上記取引を委託したときにも,......自己玉を建てる都度,その自己玉に対当する委託玉を建てた委託者に対し,その委託玉が商品取引員の自己玉と対当する結果となったことを通知する義務を負うというべきである。」

3 解説
先物取引における「差玉向かい」とは,たとえば,委託玉(委託に基づく建て玉)が「買い」100「売り」30場合に、業者がその差の70を自社玉「売り」として建て、「買い」「売り」各100にして取引するというものである。こうすると,「買い」「売り」のうち,自社玉を建てた70については,顧客が損をすれば業者が得をするという,利益相反関係に陥る。本件判決は,「差玉向かい」のこうした危険性に着目して,「差玉向かい」を行っていること及び「差玉向かい」には利益相反関係となる可能性が高いことの通知・説明義務を認めたものである。

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