重要判例解説(3);最高裁判所平成23年4月19日決定

1 事案
X社(楽天株式会社。相手方・抗告人・抗告人)は,Y(東京放送ホールディングス。申立人・相手方・相手方)の株寿司であり,発行済株式総数の約19,86%を保有している。
平成20年12月16日,Yは,臨時株主総会において,平成21年4月1日を効力発生日とする吸収分割契約を承認する決議をした。この吸収分割契約は,Yが行っていた放送事業等を完全子会社である訴外A社(TBSテレビ)に承継させるもので,A社からY社への対価支払はないものとされた。
Xらは,上記株主総会に先立って本件吸収分割に反対する旨を通知し,上記株主総会においては上記吸収分割承認決議案に反対するなどした上で,平成21年3月31日付書面にて株式買取請求を行った。
そして,株式の買取価格について協議が整わなかったことから,X・Y双方が株式買取価格決定の申立てを行った。
原々決定(東京地決平成22年3月5日)は,吸収分割の効力発生日を基準日として,効力発生日前1か月の株価終値による出来高加重平均値をもって算定した価格が「公正な価格」だとしつつも,Y自らがXらとの間での本件株式価格決定について一貫して上記金額よりも若干高い価格を主張しているとして,Y主張の1株1294円を買取価格とした。
原決定(東京高決平成22年7月7日。2011年重判解商法7)は,本件吸収分割を承認する旨の決議が無ければ本件株式が有していたであろう価格(「ナカリセバ価格」)を基礎に「公正な価格」を算定するべきだとした。そして,上場株式の場合は基準日における市場価格を算定の基礎とすべきであり,本件株式の基準日は買取請求期間満了時だとして,1株当たり1294円とした。

2 決定要旨
抗告棄却。
「吸収合併等......が行われる場合,会社法785条2項所定の......反対株主......は,......消滅株式会社等......に対し,自己の有する株式を『公正な価格』で買い取るよう請求することができる(同条1項)。......反対株主に『公正な価格』での株式の買取りを請求する権利が付与された趣旨は,吸収合併等という会社組織の基礎に本質的変更をもたらす行為を株主総会の多数決により可能とする反面,それに反対する株主に会社からの退出の機会を与えるとともに,退出を選択した株主には,吸収合併等がされなかったとした場合と経済的に同等の状況を確保し,さらに,吸収合併等によりシナジーその他の企業価値の増加が生ずる場合には,上記株主に対してもこれを適切に分配し得るものとすることにより,上記株主の利益を一定の範囲で保障することにある。......裁判所による買取価格の決定は,客観的に定まっている過去のある一定時点の株価を確認するものではなく,裁判所において,上記の趣旨に従い,『公正な価格』を形成するものであり,また,会社法が価格決定の基準について格別の規定を置いていないことからすると,その決定は,裁判所の合理的な裁量に委ねられているものと解される(最高裁昭和47年(ク)第5号同48年3月1日第一小法廷決定・民集27巻2号161頁参照)。」
「吸収合併等によりシナジーその他の企業価値の増加が生じない場合には,増加した企業価値の適切な分配を考慮する余地はないから,吸収合併契約等を承認する旨の株主総会の決議がされることがなければその株式が有したであろう価格(以下『ナカリセバ価格』という。)を算定し,これをもって『公正な価格』を定めるべきである。」
「消滅株式会社等の反対株主が株式買取請求をすれば,消滅株式会社等の承諾を要することなく,法律上当然に反対株主と消滅株式会社等との間に売買契約が成立したのと同様の法律関係が生じ,消滅株式会社等には,その株式を『公正な価格』で買い取るべき義務が生ずる反面(前掲最高裁昭和48年3月1日第一小法廷決定参照),反対株主は,消滅株式会社等の承諾を得なければ,その株式買取請求を撤回することができないことになる(会社法785条6項)ことからすれば,売買契約が成立したのと同様の法律関係が生ずる時点であり,かつ,株主が会社から退出する意思を明示した時点である株式買取請求がされた日を基準日として,『公正な価格』を定めるのが合理的である。」
「会社法が『公正な価格』の決定を裁判所の合理的な裁量に委ねている......ところ,......,上場されている株式について,反対株主が株式買取請求をした日のナカリセバ価格を算定するに当たっては,それが企業の客観的価値を反映していないことをうかがわせる事情があれば格別,そうでなければ,その算定における基礎資料として市場株価を用いることには,合理性が認められる。......吸収合併等により企業価値が増加も毀損もしないため,当該吸収合併等が消滅株式会社等の株式の価値に変動をもたらすものではなかったときは,その市場株価は当該吸収合併等による影響を受けるものではなかったとみることができるから,株式買取請求がされた日のナカリセバ価格を算定するに当たって参照すべき市場株価として,同日における市場株価やこれに近接する一定期間の市場株価の平均値を用いることも......裁判所の合理的な裁量の範囲内にあるものというべきである。」

3 解説 
組織再編の際の株式買取請求における「公正な価格」には,組織再編によるシナジーも考慮されるのが一般的であるが,本件は完全親子会社間での吸収分割であることから,シナジーその他の企業価値の増減はないものとした。そして,「公正な価格」とは「ナカリセバ価格」のことであり,その基準日は買取請求時であることを,最高裁としては初めて示

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