重要判例解説(4);東京高等裁判所平成23年1月26日判決

1 事案
Y1(被告・被控訴人)は,農産物や食料品の販売などを目的とする株式会社である。平成21年9月1日,Y1は,新設分割(以下,「本件会社分割」)を行い,その一切の事業を株式会社Y2(被告・被控訴人)に承継させた。なお,この「株式会社Y2」という名称は,元はY1が商号として使用していたものであり,本件会社分割と同日にY1の称号を「株式会社Y1」に変更している。
X(原告・控訴人)は銀行業を営む株式会社であり,平成19年,同20年,同21年にY1に対して貸付をおこなっている。
この貸付に係るY1の債務はY2に承継されていないところ,Y1は本件会社分割の時点で支払が困難な状況であり,その後,当該債務の元本のうち約9500万円について期限の利益を喪失している。
このため,Xは,本件会社分割はY1がXに対して負っている債務の履行の見込みがないことを理由に無効であるとして,会社法828条1項10号に基づく新設分割無効の訴えを提起した。
原審(静岡地浜松支判平成22年7月28日)は,Xには原告適格が認められないとして訴えを却下した。

2 判旨
控訴棄却(確定)。
「新設分割の無効は、訴えをもってのみ主張することができ、その出訴期間が定められている(会社法828条1項10号)。また、無効の訴えを提起することができる者を同条2項10号に規定する者に限定している。これは、新設分割による権利義務の承継関係の早期確定と安定の要請を考慮しているためである。
そして、債権者については、『新設分割について承認をしなかった債権者』に限定している(同号参照)。『新設分割について承認をしなかった債権者』とは、新設分割の手続上、新設分割について承認するかどうか述べることができる債権者、すなわち、新設分割に異議を述べることができる債権者(同法810条1項2号)と解するのが相当である。」
「新設分割においては、新設分割会社がその事業に関する権利義務の全部又は一部を新設分割設立会社に交付することに対し、新設分割設立会社の設立の際に発行される株式(新設分割会社が新設分割設立会社に交付する純資産の価値に相当する。)が新設分割会社に割り当てられ(同法763条6号)、新設分割会社は、新設分割設立会社の株主となる(同法764条4項)から、新設分割会社は、資産総額に変動がないことになる。そうすると、新設分割後、新設分割会社に対して債務の履行を請求することができる債権者は、債務者に変更がないから、新設分割について異議を述べることができる債権者から除外したのである。」
「以上のように解したとしても、新設分割会社が新設分割設立会社から割り当てられる株式が新設分割会社が新設分割設立会社に交付した純資産に相当するものでなかった場合、新設分割会社の債権者は、不利益を受けるおそれがある。しかし、この場合でも、新設分割無効の訴え以外の方法で個別に救済を受ける余地があるから、不当な事態は生じない。」
「本件会社分割によって、Xは、新設分割会社であるY1の債権者であることに変わりはないから、会社の新設分割無効の訴えについて、原告適格を有しないといわざるを得ない。」

3 解説
本件判決は,新設分割無効の訴えにおいて原告適格を有する債務者とは,会社法810条1項2号が定める「新設分割に異議を述べることが出来る債権者」である旨の判断を示した。
そう判断した実質的な理由は,新設分割による権利義務の承継関係の早期確定と安定の要請と,個別に救済を受ける余地があることである。

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