重要判例解説(6);東京高等裁判所平成22年11月25日判決

1 事案
Aは,Y生命保険会社(被告・控訴人=被控訴人。以下,「Y社」)との間で,保険契約者兼被保険者をA,保険者をY社,死亡保険金受取人を妻のB(Y社の補助参加人)とする生命保険契約(以下「本件生命保険契約」)を締結した。
X(原告・控訴人=被控訴人)は,本件生命保険契約に係る保険金請求権について,Xを質権者とする質権(以下「本件質権」)の設定をAから受けた。
これは,弁護士Cの助言を受けた上でのものであり,Aの本件生命保険契約自体がはじめからその保険金請求権に質権を設定する目的で締結されたものであった。 
Xは,Y社に対して,本件質権の設定を通知した。
その後,Aが死亡したことから,Xは,本件質権の実行として,Yに死亡保険金の支払いを請求した。これに対して,Y社は,死亡保険金受取人がBであることを理由に支払を拒絶し,Bに死亡保険金を支払った。
そこで,Xは,Y社に対して主位的請求として質権設定に基づく死亡保険金支払いを求めた。
第1審(東京地判平成22年1月28日)は,Xの請求を認容した。Y社の準占有者に対する弁済の抗弁については,Bが死亡保険金請求権の真正な権利者だと信じたことについて過失がないといえないとして否定した。

2 判旨
控訴棄却(確定)。
「亡Aは,本件生命保険契約に基づく保険金請求権について死亡保険金に関するものも含めて一定の処分権を有していたのであるから、保険金受取人の有していた本件生命保険契約に基づく保険金請求権も、被保険者が死亡するまではその限度で不確定なものであって、いわば期待権に止まるというべきである。すなわち、死亡保険金請求権も含めた本件生命保険契約に基づく権利全般について、亡Aが上記処分権を有していたという意味で亡Aの財産権に属するものであると解するのが相当である。特に、本件のように当初から債権担保(質権設定)を目的として締結された生命保険契約にあっては、死亡保険金の受取人とされた補助参加人Bは、質権設定による制約のある死亡保険金の請求権を取得しているに止まる」
「死亡保険金の受取人の指定を変更するということは、それに伴い死亡保険金請求権の帰属を変更して、従前の受取人から新たに指定された受取人に変更するということにほかならないのであり、これは、保険契約者の死亡保険金請求権に係る処分権の一内容となっているものである。したがって、受取人の指定を撤回、変更して死亡保険金請求権の全ての帰属を他に変更するのではなく、保険契約者の債権者が有する債権額の範囲で死亡保険金請求権を債権者に帰属させる質権の設定も、同様に保険契約者の処分権に属するといえるのであり、保険契約者は、死亡保険金の受取人として指定した者の承諾がなくとも死亡保険金請求権について質権を設定することができるものと判断すべきである」

3 解説
生命保険契約における死亡保険金請求権に質権を設定することは実務において行われることもあるが,その場合には保険金受取人を保険契約者とした上で保険会社が作成した所定の書類に基づいて質権設定を行うのが一般的なようである。本件はそのような方法によらず,かつ,保険金受取人の同意もなく,死亡保険金請求権に質権を設定した事案である。
本件判決は,死亡保険金請求権に質権を設定するのも保険契約者の処分権の範囲内であるとして質権設定を認めたが,保険法47条及び76条は保険金請求権の質入れについて被保険者の同意を必要としており,保険法が施行された現在においても本件判決の見解が妥当するか否かは別途検討が必要であろう。

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