重要判例解説(7);最高裁平成23年9月13日判決

1 事案
Y1社(被告・被控訴人=控訴人・被上告人)の株式は,昭和24年に東京証券取引所(以下,「東証」)1部に上場し,平成16年12月16日まで継続して上場されていた。
Y1社の有価証券報告書等では,訴外A社(その後Y2社〔被告・被控訴人=控訴人・被上告人〕に吸収合併された)が所有するY1社株の数につき,A社名義のもの数のみを記載し,他人名義で所有するものの数は記載せず,また,A社名義株と他人名義株を合わせればA社のY1社株所有割合は過半数であったのに,これも記載していなかった(以下,「本件虚偽記載」)。
こうした本件虚偽記載は,昭和32年3月期から平成16年3月期までの間行われていた。
Y1社の少数特定者持株数は同年以降,平成16年3月末まで実態としては継続して上場株式数の80%を超えていたが,有価証券等報告書の記載上では常に80%以下とされていた。そして,A社が有するY1社株の所有割合についても,実態としては常に過半数だったが,有価封建等報告書の記載上では常に半数以下にとどまるものとされていた。
平成16年10月13日,Y1社は,関東財務局長に対し,A社等の所有する他人名義株の存在が判明したとして,公衆縦覧期間中の有価証券報告書等について,A社等の所有するY1社株の数および所有割合を訂正し,A社の表示を「その他の関係会社」から「親会社」に訂正するなどした訂正報告書を提出し,その旨公表した(以下,「本件公表」)。
ところで,東証は,上場廃止理由として,①少数特定者持株数基準(役員,および,所有株式数の多い上位10名の株主が所有する株式等の総数が,上場株式数の80%を超えており,1年以内に80%以下とならないとき),②財務諸表等虚偽記載基準(情状会社が財務諸表等又は中間財務諸表等に虚偽記載を行い,かつ,その影響が重大だと東証が認めた場合),③公益等保護基準(公益又は投資者保護のため,東証が当該銘柄の上場廃止を適当と認めた場合)の3つを,遅くとも昭和57年までには定めている。
東証は,本件公表と同日のうちに,Y1社株を上記基準①に係る猶予期間の経過を待つことなく,上記基準②③に該当するとして,上場廃止とした。
Xら(原告・控訴人=被控訴人・上告人)は,平成4年から同16年までに取引所市場でY1株式を取得し,本件公表時点でもY1社株式を保有していた者である(本件公表後は,Y1社株式を保有し続けている者もいれば,売却した者もいる)。
Xらが,本件虚偽記載により損害を被ったとして,Y1社らに対して,民法709条に基づいて損害賠償を求めたのが本件である。
原審(東京高判平成21年2月26日)は,Xらの請求を一部認容した。

2 判旨
一部破棄差戻し,一部破棄自判。
「有価証券報告書等に虚偽の記載がされている上場株式を取引所市場において取得した投資者が,当該虚偽記載がなければこれを取得することはなかったとみるべき場合,当該虚偽記載により上記投資者に生じた損害の額,すなわち当該虚偽記載と相当因果関係のある損害の額は,上記投資者が,当該虚偽記載の公表後,上記株式を取引所市場において処分したときはその取得価額と処分価額との差額を,また,上記株式を保有し続けているときはその取得価額と事実審の口頭弁論終結時の上記株式の市場価額(上場が廃止された場合にはその非上場株式としての評価額......)との差額をそれぞれ基礎とし,経済情勢,市場動向,当該会社の業績等当該虚偽記載に起因しない市場価額の下落分を上記差額から控除して,これを算定すべきものと解される。」
なお,裁判官田原睦夫の補足意見,裁判官寺田逸郎の意見がある。

3 解説
本件判決は,有価証券報告書等に虚偽の記載がされ,これがなければ株式を取得しなかったであろうという場合は,取得価額と,処分価額(株式を既に処分している場合)又は事実審口頭弁論終結時における市場価額(株式をいまだ保有している場合)の差額を基礎として損害額が算定されるとしている。そして,この算定に際しては,虚偽記載に起因しないで生じた市場価格の下落は考慮から除かれるが,いわゆる「ろうばい売り」が過度に集中したことによる下落は虚偽記載に起因するものとしてのぞかれないとした。 

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