不貞行為を行った配偶者(以降「有責配偶者」とします)の方から,離婚を請求することができるかというのは,離婚の裁判において問題となる点です。
自ら夫婦関係にきずを入れておきながら,一方的に離婚を求めることを許して良いのかという意識が,裁判所にもあるからです。
そこで,裁判所は,相手方配偶者も離婚を望んでおり,離婚をしても生活に困窮しないといえる場合等に限って,有責配偶者からの離婚請求を認めています。
具体的には,①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること、②その夫婦間に未成熟の子(未成年というわけではなく,高校卒業程度までの年齢の子をいうことが多いようです)が存在しないこと、③相手方配偶者が離婚により,精神的・社会的・経済的にきわめて過酷な状態に置かれないことの条件を満たす場合に認めています。