交通事故

交通事故にあってけがなどした人身事故の場合には、事故にあった被害者には様々な損害が発生してきますが、多くの方はどのような損害賠償が認められるのかご存じないのが大半かと思います。

そこで、簡単にですが、損害賠償の内容を個別にご説明させていただきたいと思います。

損害賠償の内容としては、治療費、入通院慰謝料、休業損害、後遺障害慰謝料、後遺障害による逸失利益があります。

1)治療費

交通事故によってけがなどをした場合には、治療のために病院に通院ないし入院して治療を受けることになります。

この場合の治療費は交通事故に関係がある治療については治療費を損害賠償として請求することができます。

ただし、過失相殺といいまして、被害者に落ち度があった場合、典型例をあげると、歩行者が赤信号を無視して横断歩道を渡ろうとして交通事故に遭った場合には治療費全額の賠償は認められず、治療費の3割程度の賠償しか認められません。この「過失相殺」については項目を改めてご説明いたします。

また、賠償される治療費は交通事故に関係がある治療とは何かを巡って加害者が加入している任意保険会社との間で紛争が生じることがあります。具体的には、むち打ちで通院していたところ、その通院期間が例えば6か月を超えると、保険会社はその6ヶ月間の治療で治癒しているはずとして治療費の支払いを打ち切ってくることがしばしばあります。もとより、保険会社は根拠なくして打ち切る訳ではなく、被害者の同意を取り付けて病院から医療記録を取り寄せて、その内容から保険会社がそれ以上治療の必要がないと判断します。

もっとも、その判断が常に正しい訳ではありません。中には治療費の打ち切りによって、被害者は治療を断念してしまう方もいらっしゃいます。しかし、それで治療を断念してしまえば、本来治療を継続すべき必要がある場合には大いに問題があります。このような場合には弁護士に依頼して、弁護士が保険会社と交渉することで治療費の支払いが継続される場合もあります。継続されない場合でも、健康保険を使用して治療を継続することで、

通院慰謝料という損害賠償を受けることができたり、治療を継続しても後遺障害が残る場合には後遺障害慰謝料や後遺障害による逸失利益が認められる場合があります。

保険会社が治療を打ち切ることが多い疾病は、むち打ちの場合です。これはレントゲンやCT検査、MRI検査で異常が認められず自覚症状として首や腰などの痛みを感じるところから、保険会社は6ヶ月間程度を目安として治療を打ち切ることが多いのです。事故大要から衝突の衝撃が大きい場合には1年程度は治療を認めることももとよりあります。

むち打ちの場合には検査で異常が認められない訳ですから、むち打ちの病状が悪いことを最終的に裁判所に認定してもらうためには、治療費を打ち切られても継続して通院しなければ裁判所もむち打ちの程度がひどいものとして後遺障害認定をしてはくれません。

むち打ちの後遺障害認定は通常14級の後遺障害ですが、一般論で言いますと、14級の後遺障害による損害賠償全額は過失相殺がないとすれば、200万円から300万円と多額に上ります。

そのような意味でも、保険会社から治療費の支払いを打ち切られた場合には、弁護士に相談することを強くお勧めします。

2)入通院慰謝料

交通事故の被害を受けて通院や入院をしなければならないことで精神的苦痛を受けることは通常のことです。裁判所は通院や入院をしている期間や通院頻度を元にして入通院慰謝料を認定してくれます。

もとより、裁判にならずとも、保険会社は入通院慰謝料を提示してくれます。しかし、保険会社の提示する入通院慰謝料の額は弁護士に依頼するかどうかで違ってくるのが実際です。弁護士に依頼した場合は、通院の頻度が高い時には、裁判所の認定基準-通称赤い本(「損害賠償額算定基準」)の別表ⅠないしⅡを適用して、保険会社は入通院慰謝料を提示してきます。例えば、むち打ちで通院(週に3回程度以上の頻度)12か月の例を取りますと、弁護士に依頼すると、保険会社はむち打ちを認めれば、通院慰謝料として、113万円を提示してくる可能性が高いといえます。弁護士に依頼しないと、保険会社は通院日数に5000円前後を掛けた金額を提示してきますが、弁護士をつけるかどうかでかなりの開きが生じてきます。

3)休業損害

交通事故によるけがが重傷の場合やけがの部位によって仕事ができない場合があります。その場合には休業損害という損害賠償が認められます。

休業損害をどのように算定するかですが、一般には、交通事故にあった直前3ヶ月間の収入の平均額を基準として、治療によってどの程度仕事ができなくなったか(労働能力が喪失したか)を考慮して算定することになります。

専業主婦の場合には、収入がないので、休業損害が認められないように思われるかも知れませんが、専業主婦も主婦業という仕事をしていると考えて、厚生労働省が定めた賃金センサスを元に平均賃金を算出して、収入を算出しますので、休業損害の賠償を得られます。

具体的にどのように算出するかを見てみますと、会社員の場合には交通事故によって1ヶ月間入院して出勤できなかった場合には、1ヶ月間の給与相当額(直近の給与3か月分の平均額1か月分)が休業損害として認められます。

通院の場合には、仕事の内容によって労働能力喪失率をどう考えるかが違ってきます。たとえば、利き腕を骨折して入院はしなかったものの、2ヶ月間通院治療してそれまでは利き腕を使うことを制限された場合には、会社員の方の大半は出勤はできても仕事に重大な支障を生じたでしょうから、2ヶ月間の給与相当額(直近の給与2か月分)かそれに近い休業損害が認められることになります。このような場合には、保険会社は出勤自体できたことを理由として大幅な減額を提示して来ることがありますので、そのような場合には弁護士に依頼されることをお勧めします。

個人事業主・自営業者の休業損害

会社員の場合と異なって、どの程度休業損害を認めるかは簡単には算出できないことが多いかと思います。

従業員を雇用している場合で、被害者が従業員に指示して業務を遂行することで現実に収入が減少しなかった時には休業損害は認められないでしょう。収入が減少した場合でも、その原因が被害者が出勤できなかったことによるものか、季節的な要因などによるものかが問題となります。保険会社はそのような場合には休業損害を認めないか減額してくる場合があります。このような場合には弁護士に相談、依頼されることをお勧めします。

また、個人事業主の方は税金対策などで過小申告をしていることがありますが、その場合には確定申告書の収入をベースとして休業損害が算出されることになります。この場合には裁判で争っても裁判所の判断は多くの場合確定申告書の収入を基準に休業損害を算定することになります。ただし、事情によっては、賃金センサスを基準に休業損害を算定してもらえることはあり得ます。

専業主婦の休業損害

交通事故により専業主婦が家事をできなくなるか家事をするのに苦労したりすることがあります。その場合には、専業主婦には収入というものはありませんが、家事労働を仕事と見なして、厚生労働省作成の賃金センサスに基づいた女性労働者の平均賃金額をベースとして休業損害を算出していきます。

もっとも、平均賃金だけで休業損害が決まるわけでなく、家事の内容、年齢、家族構成等により増額がされることがあります。

では、家事だけでなく仕事もしている兼業主婦の休業損害はどうなるのでしょうか。

この場合は、女性労働者の平均賃金額と仕事による収入額を比較して、高い金額を基準にして休業損害を算出していきます。

無職の方の休業損害

たまたま失業中に交通事故にあってしまった方の場合には休業損害が認められないのでしょうか。

無職であっても、労働意欲や労働能力がありたまたま失業していた場合には、労働能力の内容程度、労働意欲、再就職可能性、それまでの勤務状況を元にして、過去の勤務先での収入や賃金センサスでの平均賃金などを基準として休業損害を算出します。

たまたま別の仕事に就くためにそれまでの仕事をやめたところで交通事故にあった場合、形の上で無職者と考えられてしまい、不利益を受けることもあります。

この場合、本人の能力や意欲、再就職可能性、これまでの実績などを考え、たとえば以前の勤務先の収入を基礎収入としたり、平均賃金を用いる場合もあります。また、具体的に内定先が決まっている場合などは、就職していたらもらえたであろう収入を基礎収入とすることも可能です。

就職活動中の学生が事故により就職が遅れてしまった場合にも基礎収入が認められる場合もあります。

4)後遺障害慰謝料

後遺障害とは、これ以上治療しても病状が善くならない場合、これを症状固定といいます、において、症状固定時の病状について、労働災害における後遺障害の基準を適用して、後遺障害を認定していきます。後遺障害と言っても千差万別ですから、一番重い1級から一番軽い14級の14段階に区分して認定しています。

交通事故に多いむち打ちは一般的には14級に認定されます。

後遺障害の認定はまずは自賠責事務所が被害者からの直接請求によって、または、保険会社を通しての請求に基づいて、症状固定までの医療記録を元にして後遺障害の有無、等級を認定していきます。

自賠責事務所が後遺障害を認定しなかった場合には異議申立をして再度見直しを求めることができます。しかし、多くの場合には当初の認定が覆ることはありません。

しかし、後遺障害認定は賠償額算定のための法的判断ですから、後遺障害認定は最終的には裁判所が症状固定までの医療記録や被害者の尋問を元に判断します。

後遺障害認定で一番多く問題になるケースはむち打ちの場合です。自賠責事務所も裁判所も客観的な証拠、具体的には検査結果や主治医の後遺障害診断書をはじめとする医療記録を元に判断しますので、むち打ちでつらいのを我慢して仕事を優先して治療をきちんと受けなかった場合には、医療記録上はあまり通院していないことになりますので、むち打ちの程度も後遺障害を認定する程度ではないと判断されることになってしまいます。

そのような意味で、ある程度の交通事故に遭われた場合には弁護士に相談してどう対応していけばいいか助言を求められることをお勧めします。

後遺障害14級に認定された場合には、自賠責基準では、75万円の慰謝料が認められます。何級の場合には慰謝料がいくらかは詳しくは弁護士に相談してください。

5)後遺障害による労働能力喪失による逸失利益

後遺障害によって労働することが制約されてきます。労働の制約の程度、具合は後遺障害の程度-後遺障害等級によって、健常時を100%として、何%減少したか(これを「労働能力喪失率」といいます)を画一的に定めています。画一的に判断したのは、判断にばらつき、不公平が生じないようにするためです。

後遺障害による逸失利益は、事故時点での基準収入×労働能力喪失率×(67歳-受傷時の年齢)に基づくライプニッツ係数(東京地裁)の算式で算定します。

ライプニッツ係数というのは、67歳(定年とは関わりなく67歳までは働けると判断します)まで働けるとした場合に受領する収入総額を前倒しで受領することから、それまでの利息を差し引く必要があり、その利息を差し引いた金額を算出するための係数です。

67歳という年齢は症状によって違ってきます。むち打ちは3年前後で完治するということから3年間のライプニッツ係数を用いることが多いです。

多い症例であるむち打ちを例に逸失利益を算定してみますと、後遺障害が14級と認定され、年収が500万円とすれば

500万円×5/100×2.7232(3年間のライプニッツ係数)=68万0800円

1眼失明の場合を例に逸失利益を算定してみますと、後遺障害が7級と認定され、年収が500万円、受傷時の年齢を30歳とすれば

500万円×35/100×16.7113(37年間のライプニッツ係数)=2924万4774円

この算式から分かるように後遺障害等級が上がるほど、労働能力喪失率が高くなり、ライプニッツ係数も高くなってきて、逸失利益も飛躍的に高くなっていきます。

なお、年収をいくらと算定するかは、個人事業主や専業主婦の場合には種々検討する必要があります。

6)後遺障害認定基準(平成24年度)

後遺障害認定基準2012(平成24年度)(損害賠償額算定基準、財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編集・発行)に記載されている、後遺障害認定基準を本サイトに表示しましたので、下記をクリックしてご参考にしてください。

後遺障害認定基準2012(平成24年度)

7)その他

以上に述べた以外にも損害賠償される項目がありますので、詳しくは弁護士にご相談ください。

交通事故の損害賠償の流れ

(1)交通事故による人身損害発生→実況見分実施

人身事故の場合には、警察によって実況見分がなされ、実況見分調書が作成されます。

他方で、物損事故の場合には実況見分はなされませんが、当初人体に傷害がなくとも後日傷害が健在化することがあります(むち打ちは数日経ってから発症すると言われています)ので、その時は、医師の診断書を持参して、警察署に出向いて、物損事故から人身事故へと切り替えてもらって実況見分を実施してもらうことになります。

実況見分は刑事処分、つまり、車両運転者の過失の程度、内容を確定するために行われる捜査の一つですが、民事、つまり、交通事故による損害賠償に当たっては、過失割合算定の重要な判断材料となります。過失割合については別途ご説明いたします。

実況見分に当たって、被害者が救急車で病院に搬送されるなどして、被害者が立ち会わないで実況見分が行われることがあります。その場合には加害者の言い分だけで実況見分調書が作成されてしまいますので、実況見分に立ち会わなかった時には、被害者の方には警察に出向いて、加害者も立ち会いの上で実況見分を再度するように申し入れることをお勧めします。警察は申し入れがあれば実況見分を再度実施するのが通常です。

前にも述べましたが、けがが治っていない場合に仕事を優先してその結果治療を十分受けなかった場合には、保険会社、自賠責事務所、裁判所は医療記録を元に後遺障害の程度内容を判断するために、本来ならば得られるはずの損害賠償(特に後遺障害による慰謝料、逸失利益)が得られないことになりますので、けがが完治するまでは治療を十分受けて下さい。

(2)実況見分調書取り付け

弁護士は被害者から損害賠償の交渉や損害賠償請求訴訟の依頼を受けると、事故態様、ひいては、過失相殺の過失割合を検討するために、実況見分調書を弁護士会を通して担当の検察庁から取り寄せます。

実況見分の取り寄せには所轄の警察署が発行する事故証明書が必要となりますので、弁護士に相談するときには事前にご持参ください。

(3)症状固定時における損害額の算定、確定

損害賠償請求ないし交渉をするに当たっては、損害の確定を必要とします。損害が確定するのは主治医がこれ以上治療しても症状の改善が認められない(これを症状固定といいます)と判断した時です。

症状固定時において、痛みなどが残っている場合には主治医に後遺障害診断書を作成してもらい、第一次的には、自賠責事務所に後遺障害認定をしてもりあます。

症状固定するまでは損害全体が判明しませんので、保険会社から一時払いをしてもらうことは可能ですが、それ以上の支払いはされません。保険会社からの一時払いが低すぎたり、被害者の事情―治療費が多額になりさらなる支払いが必要となった場合には、裁判所に対して損害賠償金の仮払いの仮処分を求めることもあります。この場合には弁護士にご相談ください。

(4)症状固定を受けて、まずは保険会社と損害賠償の交渉を行います。

これによって妥当な賠償額の支払いがなされれば、示談契約を締結します。

話し合いがまとまらなければ、裁判所に対して加害者(実質は保険会社)を被告として損害賠償請求訴訟を提起することになります。

なお、症状固定に至らない時点で、保険会社が治療費の打ち切りをしてくることもありますので、その場合には弁護士に依頼されることをお勧めします。

また、症状固定後にかかる医療費は賠償の対象にはなりませんので、いつの時点で症状固定とするかは主治医とよく相談されて決めることをお勧めします。

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